クソして寝よか

アイルランド・ダブリンでの生活や旅の記録

スペイン横断の旅 サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼

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スペインを歩いて横断する。
考えただけで足が痛くなりそうな、そんなことをやっている人が実はこの世界に毎年数万人もいる。
そしてこれまでの長い歴史の中で何億人といる。
 
星の数ほどの旅人が歩いてきたそのスペイン横断の道をサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路という。
 
 
 
サンティアゴ・デ・コンポステーラ。
それはスペイン北西部にある街の名前だ。イエス・キリストの弟子の一人、聖ヤコブの亡骸がそこにあるとされ、ローマとエルサレムに並ぶキリスト教三大聖地の一つに数えられる。この街の旧市街自体が世界遺産に登録されているのだが、そこに続く巡礼路もまた別の世界遺産として登録されている。この巡礼路は1000年以上の歴史を持ち、今でも年間数万人がこの道を歩く。その目的は元来信仰のための巡礼であったが、今では文化的関心、スポーツ、観光、いわゆる自分探しなど巡礼者それぞれにある。
 
巡礼路には何通りかのパターンがあるが、その中でも最も重要な道は「フランスの道」と呼ばれ、フランスの南端サン=ジャン=ピエ=ド=ポルから国境ピレネー山脈を超えてサンティアゴ・デ・コンポステーラまでスペインをほぼ横断する。
 
日本人にはあまり馴染みのない存在だが、国籍年齢さまざまな人がこの道を歩く。この旅の醍醐味は、道中そんな人たちと知り合い、共に語り合いながら歩いたり、アルベルゲという巡礼者のための宿で一緒にご飯を作り酒を飲み交わすというところにもある。
この道は全長約800キロ。バックパックを背に抱え、毎日20〜30キロを約30日間歩いて、僕はこの道を踏破したい。
 
出発は今年の9月を予定している。
 
 
この巡礼路の存在を知ったのは、世界遺産検定の参考書だった。
熊野古道と並び世界でも珍しい道の世界遺産であることに興味を持ち、ネットにある情報や、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼をテーマにした映画「星の旅人たち」を見るうちに、この巡礼への憧れは日に日に強くなっていった。
 
2年前の世界一周の船旅や趣味の旅行で、ペトラ遺跡、イースター島、タージマハルなどド派手な世界遺産をいくつも見ることができた。
が、それ以上に、自分と向き合いながらひたすらゴールを目指し歩くというこの世界遺産の旅にはロマンを感じずにはいられなかった。
 
死ぬまでにいつかは、などと思っていたが、今のアイルランド留学がこの上ないチャンスだろう。夏に思い切って長い休みをとることにした。
世界一周の船旅も、今のアイルランド留学も、具体的に何も決まらないうちから周りの友人に「こんなことしたいと思ってるんだよね」とか「こうすることにしたよ」とか言っちゃうことで、なんとか現実にすることができた。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の旅、なんとしても実現させるために、今この場で宣言しよう。
 
僕は歩いてスペインを横断する。
 
ちなみに聖ヤコブの遺体がサンティアゴ・デ・コンポステーラに運ばれてきた日は、聖ヤコブの日といわれキリスト教の祝日になっており、特にこの巡礼路においては最も重要な日であるらしい。これが奇しくも僕の誕生日7月25日であることに運命的なものを感じたのは否定できない。
 
旅立ちの日が待ち遠しい。 
 
 
画像はWikipediaから